フィリップ ヴァレリーは幼いころから、アジア、とりわけ日本の古い美術品などにかこまれて育ち、また日本人との交流もある環境のなかで、自然と東洋好き、日本びいきの青年へと成長していきました。その関心はより広く世界を知りたいという思いへとつながり、その思いを満たす環境を求めながら、ビジネスマンとしての道を歩みつつ、日本、アジア、南米へと、さまざまな形で旅を重ねていきます。その後のパリでの安定した生活が、ヴァレリーに更なる旅立ちを決意させ、1998年、シルクロードを踏破してみたいというとてつもない計画を実現させる旅に出発します。この度の写真展では、約2年間をかけて16カ国を歩いてきたヴァレリーが各地で眼にし、自身で捉えてきた旅の記録をご紹介するとともに、世界への扉を開くきっかけとなり、約10年の時を過ごした国、日本で、彼が出会いカメラに収めた風景の数々もあわせて展示いたします。そこには、「民族衣装や、古来の食習慣、先祖からの伝統を守っている人々に会いたい」と歩き続けたヴァレリーの思いが溢れています。