フランスのファッションは伝統的なクチュリエによって支えられてきました。その貴重な伝統やノウハウを継承するだけでなく、今後も成長を続けることができるよう、シャネルは伝統的なクチュリエのアトリエを傘下に収め、その技術とカール ラガーフェルドのデザインによるメティエダールコレクションを毎年発表しています。
一方、フランス人の父とベトナム人の母を持ち、現在コートジボワールを拠点に、世界で活動をする彫刻家カイディン モニック ル=ウエラーは、手工業を守り、その価値を高めていくことの大切さを、手をモチーフとした作品を制作することで表現しています。この様な流れの中で意見を交わし、メティエダールをはじめ、オートクチュールや、バッグ、ジュエリー、香水の瓶といった、シャネルのクリエーションの数々を、卓越した技術で形作っていく職人たちの手の彫刻のプロジェクトがスタートします。カイディン自身が数々のアトリエを訪問し、制作の過程を目にしながら、職人たちの手に触れて型をとり、彼女自身の手によって手の彫刻作品が創作されていきました。これらの作品を通して、シャネルのものづくりに対する精神をお伝えするとともに、アーティスト・カイディンの持つ、創作への尊敬と情熱に満ちた世界をご紹介いたします。