趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築など京都ならではのロケーションを舞台に、国内外から選び抜かれた写真で街全体が満たされるKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭。シャネル・ネクサス・ホールは、2013年のスタート時からこの写真祭に参加し、展覧会を開催しています。今年は新型コロナウィルス感染症の世界的拡大により、開幕を4月から9月に変更し開催する運びとなりました。
第8回を迎える2020年は、フランス人写真家ピエール=エリィ ド ピブラックによる「In Situ」展を、シャネル・ネクサス・ホールにつづき京都府庁旧本館 正庁で開催いたします。1904年に竣工され、国の重要文化財にも指定されている建物のクラシカルな雰囲気の中に、パリ・オペラ座という世界最高の舞台で、華麗なパフォーマンスによって人々を魅了するバレエダンサーたちを捉えた写真の数々が展示されます。
2013-15年にかけて、パリ・オペラ座の舞台裏に密着し、撮影された「In Situ」三部作。ピエール=エリィは歌劇場のステージとバックステージでの生活をダンサーたちと共有しながら、彼らの動きを観察しました。「Confidences」は、バックステージやリハーサル中に撮影したモノクロ写真で構成されています。無音のカメラと特殊レンズを用いることで、彼はダンサーたちに近づき、生々しくストレートな情感あふれるイメージを創り上げました。「本来あるべき場所で」という意味をもつ「In Situ」のタイトルを体現するかのように、なかなか公には見ることのできないダンサー同士の親密さを捉えています。薄暗い照明の中で撮影された「Catharsis」は、ダンサーたちが放つエネルギッシュな動きが抽象的かつ絵画的に表現されています。壮観なガルニエ宮にダンサーたちが配置された「Analogia」は、まるで壮大な絵画のようです。「In Situ」シリーズは、作家の被写体に対する洞察と親密性を示すものであり、神話的華麗さに彩られたパリ・オペラ座バレエ団をとりまく環境を総合的に探ろうとする、彼の独創性の証でもあるのです。
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