EXHIBITION
Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地
ソフィア クレスポ / エンタングルド アザーズ

Entangled Others –《specious upwellings》detail

Entangled Others –《specious upwellings》

Entangled Others -《self-contained 009.4》
Art Singapore ©Gazelli Art House
2025.10.4 SAT - 12.7 SUN
11:00 - 19:00
(最終入場18:30)
※イベント開催時は変更となる場合がございます
会期中無休・予約不要・ 入場無料
INTRODUCTION
シャネル・ネクサス・ホールは、2025年秋、AIアートとエコロジーが融合する展覧会を開催いたします。
登場するのは、リスボンを拠点に活動するアーティスト、ソフィアクレスポ(Sofia Crespo)と、彼女がアーティスト・デュオとして活動するエンタングルド アザーズ(Entangled Others)。最先端の彼らの作品は、いま世界のアートとテクノロジーが交差する臨界点で、もっとも注目を集めています。
本展では、海中2000メートル以深の世界を探る《liquid strata: argomorphs》(2025)、湧昇という地球規模の現象とAIの視覚言語を結びつけた《specious upwellings》(2022-2024)、そして遺伝情報とデジタルデータの構造を重ねた《self-contained》(2023-2024)を含む4シリーズを紹介予定。ヴィジュアル、彫像そしてデジタルインスタレーションなどの展示作品が観るものに投げかけるのは、いずれも、断片的なデータと仮説から世界を読み解こうとする科学的営みと、詩的な想像力との交点に立ち現れるヴィジョンです。
彼らの作品において、テクノロジーを介して生成されたイメージは、自然の“代替物”ではなく、「人間が自然をどう見たいと願っているか」の深層を写し出します。そして、絡まり、共鳴し、変容していくそれらのイメージは、現実世界の見え方を静かに揺さぶります。
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本展は、昨年に続く展覧会シリーズの第二弾として開催されます。本シリーズは、長谷川祐子が主宰する「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーションのもと、次世代を担う若手キュレーターを起用。第二弾となる今回は、キュラトリアル・コレクティブ「HB.」の共同代表である三宅敦大が担当します。
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ARTISTIC DIRECTOR
長谷川祐子 Yuko Hasegawa
キュレーター/近現代美術史/京都大学経営管理大学院客員教授/東京芸術大学名誉教授、国際文化会館アートデザイン部門プログラムデイレクター/前金沢21世紀美術館館長 br>
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文化庁長官表彰(2020年)、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ(2015年)、ブラジル文化勲章(2017年)、フランス芸術文化勲章オフィシエ(2024年)を受賞。これまでイスタンブール(2001年)、上海(2002 年)、サンパウロ(2010 年)、シャルジャ(2013年)、モスクワ(2017年)、タイ(2021年)などでのビエンナーレや、フランスで日本文化を紹介する「ジャパノラマ:日本の現代アートの新しいヴィジョン」、「ジャポニスム2018:深みへ―日本の美意識を求めて―」展を含む数々の国際展を企画。
主な著書に、『キュレーション知と感性を揺さぶる力』(集英社)、『破壊しに、と彼女たちは言う:柔らかに境界を横断する女性アーティストたち』(東京藝術大学出版会)、『ジャパノラマ: 1970年以降の日本の現代アート』(水声社)、『新しいエコロジーとアート「まごつき期」としての人新世』(以文社)。
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CURATOR
三宅敦⼤ Atsuhiro Miyake
キュラトリアル・コレクティブ「HB.」共同代表 br>
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1994年⽣まれ。岐⾩県出⾝、京都在住。2019年、東京藝術⼤学⼤学院国際芸術創造研究科修⼠課程修了。⼤学院在学中にキュレーターの髙⽊遊とともに、キュラトリアル・コレクティブ「HB.」を設⽴。修了後、同研究科教育研究助⼿および黄金町エリアマネジメントセンター・キュレーターを経て、2022年4月から2025年3月まで滋賀県立美術館・学芸員を務めた。同年4月、独立。空間体験としての展覧会の在り方について模索している。
主な展覧会実践として、2024年「滋賀の家展」(滋賀県立美術館、滋賀)、2022年「石と植物」(滋賀県立美術館、滋賀)、2021年「愛しき景⾊の果てで」(The 5th Floor、東京)などがある。
また、2024年「森の芸術祭晴れの国・岡山」にてコーディネーター、2020年「Sharjapan2: Inter-Resonance/Inter-Organics」(Sharjah Art Foundation、UAE)、2019年「Intimate Distance」(モンペリエ・コンテンポラリー、モンペリエ)にてキュレイトリアル・アシスタントを務める。
主な書籍として『誘う森森の芸術祭晴れの国・岡山2024 公式カタログ』(合同会社PURPLE)がある。
ARTISTS
ソフィア クレスポ
Sofia Crespo

1991年生まれ、アルゼンチン出身。現在はポルトガル・リスボンを拠点に活動。
テクノロジーと有機的生命との共生関係に深く入り込み、テクノロジーを自然から切り離されたものとする従来の見方を再考する作品を制作。彼女は、AIのメカニズムがどのように有機的な形態を模倣し、進化させることができるかを探求し、AIによって生成されたイメージと人間の創造性の間に共通項を模索しています。
代表的なプロジェクトには、《neural zoo(ニューラル・ズー)》(2018-2022)や《artificial natural history(人工的な自然史)》(2020-2023)などがあり、仮想的な生態系や人工生命体を提示することで、「人工」と「自然」の境界を再考させるよう鑑賞者に問いかけています。
2024年には、バルセロナのカサ・バトリョに招待され、《structures of being(存在の創造性)》というプロジェクション・マッピング作品を制作。アントニガウディの建築理念からインスピレーションを得ており、自然を「無限の創造性を持つ進化のプロセス」として表現しています。
アーティストとしての活動に加えて、マサチューセッツ工科大学やオックスフォード人工知能学会などで講演を行い、機械学習を用いる現代のアーティストの役割についても模索しています。
2025年にはABSデジタルアート賞にてアンナリドラーと共に「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞。
エンタングルド アザーズ
Entangled Others

エンタングルドアザーズは、フェイレカンカークブライドマコーミック(1987-、ノルウェー)とソフィアクレスポ(1991-、アルゼンチン)によって2020年に設立された実験的なアーティスト・デュオ。
彼らの活動の根底には「エンタングルメント(絡まり・もつれ)」という概念があります。これは、どのような存在であっても、単独で存在しているのではなく、すべての行動、表現が、相互に結びついた多様な存在を通じて共鳴しているということを意味しています。彼らは作品を通して、テクノロジーや自然界の種の表象に潜むバイアスに対する問いを投げかけます。そして、計算に基づく生物学的モデルへの回帰を提案し、種や生態系を超えて広がる「エンタングルメント」の概念を探究しています。
また、彼らはこの世界を支えている多様性と相互依存性、そこに関与する「人間のテクノロジー」との間の複雑な関係性を認識し、大切に育むことの必要性を強調しています。そして、豊かな未知の存在との間にある距離を取り払い、私たちすべてを支える「世界=生命の精巧な織物(タペストリー)」への深い理解と感謝を呼びかけています。
これまでにトレド美術館(オハイオ州、アメリカ)、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン、イギリス)、NeueHouseLA(ロサンゼルス、アメリカ)、マサチューセッツ工科大学(マサチューセッツ州、アメリカ)、Re:Humanism(ローマ、イタリア)、オックスフォード大学(オックスフォード、イギリス)、ユネスコ本部(パリ、フランス)、ゴールドスミス大学(ロンドン、イギリス)、タイムズスクエア・ミッドナイトモーメント(ニューヨーク、アメリカ)など、様々な場所/会場でのプロジェクトに参加。
また、彼らの作品は、バッファローAKG美術館(ニューヨーク、アメリカ)、オナシス財団(ファドゥーツ、リヒテンシュタイン)、コレクシオン・ソロ(マドリード、スペイン)をはじめとする、個人および公共機関のコレクションにも収蔵されています。