都市の混沌から無人の極地まで、世界をフィールドに活動を続ける石川直樹は、2001年、23歳で世界最高峰エベレストに登頂し、2011年には別ルートから二度目の登頂を果たしました。その後も中判フィルムカメラを携えてヒマラヤへの旅を続け、高峰に登りながら極限の状況下で撮影するという独自のスタイルで次々と新作を発表しています。
そして、2015年夏、石川は世界第二位の難峰K2の頂を目指しました。K2は8611メートルという高さに加え、ルートの難しさと独立峰ゆえの厳しい気候から、8000メートル峰の中で最も危険とされる山です。パキスタン、中国、インドと国境を接するカラコルム山脈の奥地にあり、山にアプローチすることさえ容易ではありません。そうした難しさと裏腹にある鮮烈な美しさに導かれ、石川はこれまでの登攀にも増した、特別な思いをもってこの山に挑みました。
本展では、石川の活動の集大成ともいえるK2遠征において撮影された写真を、一堂に展示いたします。
二か月間におよぶ過酷な遠征の成果を、ぜひご覧ください。