フランス人画家ベルナール ジョナーは、幼少の頃、祖父がアジアで長く神秘的な旅をし、その旅が彼の人生に深い影響を与えたという話を母から聞いていました。それは、宝のようなものとして幼き少年の記憶に埋め込まれ、やがて大人になり、画家としての人生を歩んでいきます。その中で2008年、ジョナーは初めて日本を旅する機会を得ます。そしてこの旅が、彼の頭の中にある迷路に宝の跡を見つけ出す旅となったのです。ジョナーの目に飛び込んでくる日本の光景は、彼を本能のままに行動する子供にかえらせ、休むことなく見えるものすべてを観察し、何千という映像が画家ジョナーの中に刻みこまれていきました。沢山のスケッチとともにフランスに帰国したジョナーは、日本人の特別な眼差しに触れ、自らの眼差しを持ってそれを表現すべく、創作に打ち込みます。本展覧会では、画家として長年に渡り古典的な技法を重んじながらも新たな表現を磨いてきたベルナール ジョナーが、日本の風景と、その精神に触れ、表現した作品の数々をご紹介いたします。様々な色と線を持って描かれた作品からは、物心ついた頃の宝物の記憶に近づいたジョナーの大きな喜びが伝わってくると同時に、わたしたち日本人の記憶の片隅にある、平和な日常の風景を呼び起こしてくれます。