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FEATURED

2023.2.24 FRI

Exhibition

WHERE OCEANS MEET
マベル ポブレット インタビュー

-キューバ人アーティストとして世界的に活躍されていますが、芸術を志すようになった背景、生い立ちについて教えてください。

私は国の南部中央に位置する海岸沿いの都市、シエンフエゴスに生まれました。育ったのはごく普通の家族で、両親と私はとても仲が良く、また非常に教育熱心な家庭でした。建築家である母と劇団のディレクターである父は、私にとって教育の柱であり、人生で最初にインスピレーションを与えてくれた人たちです。芸術との最初の出会いはダンスでした。しかし、ダンサーとしてバレエ団に所属してみたものの、自分には合わない表現方法だという結論に達しました。当時、私はとても内気だったので、言葉や人前に出る場面がなくても自分の考えや感情を伝えることのできる表現媒体を見つける必要がありました。そして、自身の思考や疑問を発展させることができる視覚表現に辿り着きました。

-影響を受けたアーティストはいますか?
コンセプトの面では、日常生活や、私たちが社会で直面する問題からインスピレーションを得ていますが、表現形式においてはマリナ アブラモヴィッチやクリスチャン ボルタンスキー、オラファー エリアソンやアニッシュ カプーア、ジュリオ ル パルクといったアーティストに触発されています。

-独自の表現スタイルは、どのようにして確立されたのでしょうか? 
サン・アレハンドロ芸術アカデミーでは彫刻の技術を学びましたが、その当時、自分の過去に関連するディテールや、それらが現在にどのように投影されるかを描写するために、同じ要素を連続して使用する手法に取り組むようになりました。この同じ要素(幾何学的図形や作品全体の断片化)の繰り返しが、一つひとつの作品に時間の普遍性を暗示させるために必要なのです。シルクスクリーン印刷はどんな媒体でも扱うことができ(現在、この技法は作品《NON-DUALITY》に使用しています。プラスチックの花々は透明なアセテートにシルクスクリーン印刷を施した素材で作られています)、一方で写真は、さまざまな世代を通じて継承されてきたアーカイブの画像を使用して過去に向き合うだけでなく、現在を捉えて未来に残すことも可能にしてくれます。

-さまざまな表現技法を駆使し、時には組み合わせながら作品を制作されていますね。 
私にとってアートは、表現を通して自分の歴史の一部を語るものであり、個人または集団としての経験が作品を作り上げていくのです。私は自身の考えを制作の過程で具現化していくので、技法や表現媒体は表現したい内容に合わせて決めています。そして、作品はシリーズとしてまとめられていくわけですが、中にはインスタレーションやパフォーマンス、パブリックアート、ビデオアートなど、さまざまな媒体による作品が含まれています。ほとんどの作品は材料が不足している状況の中で制作しているので、その分、創造性を発揮し、代替案を探すためにいつも必死です。

-2017年の第57回ヴェネチア・ビエンナーレで祖国を代表してキューバ館で作品を展示したことは、ご自身にどのような影響をもたらしましたか? 
この時に発表した〈Homeland〉シリーズの作品《SCALE OF VALUES》は、その制作過程から私のキャリアにとってターニングポイントとなるものでした。このインスタレーションを作るために、私はコミュニティから出発してイメージと言葉による強大な柱を作りました。多くのキューバ人家庭に協力してもらい、彼らが毎日読んでいるキューバの全国紙からイメージを切り抜いてもらったのです。キューバでは、すべての報道機関が同じ編集基準を持っています。あらゆるニュースは同じ政治的傾向のもとに書かれていて、すべてのメディアで同様の状況となっています。ですから、情報は常に反復し続けているのです。画像と文字の、どちらがより多くのコンテンツを生み出しているのかを考えながら、私は、メディアに掲載されたこれらのイメージすべてを活用して、その裏側にイメージと一致しないテキストの抜粋を見せることで、異なるニュースを作り出したいと考えたのです。
ヴェネチア・ビエンナーレではキューバの代表として、他の素晴らしいアーティストたちとともに夢を実現することができました。このように名高いビエンナーレに参加し、国際的なアートシーンと関わった経験は、アーティストとして成長するための教訓であり続けています。

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