ピエール ポランはデザイン界に新たな一ページを書き加えたフランスを代表する偉大なデザイナーです。彼はそれまで誰も想像したことのないモダンなフォルムを打ち出し、「リボンチェア」や「タンチェア」など、瞬く間に新しいデザインを世に送り、世界中で評価されてきました。過去60年間に、ポランの作品はその優しいフォルムで我々の日常生活を包み、暮らしの中へと自然に溶け込んでいったのです。
『フォルム』はどこから生まれるのか。腰掛は腰掛の形でしか考えられないものなのか。ピエール ポランが生み出した「リボンチェア」はリボンにも見え、よく眺めると微笑む口にも見えます。「タンチェア」も同じように、その名の通り、舌にも見え、またかわいらしい雲にも見えます。
展覧会の会場では、それらの椅子に実際に座っていただきながら、ピエール ポランの世界を表現した作品を心行くまで味わい、そのエッセンスを感じていただくことが出来ます。その一つ一つが美術品ともいえるピエール ポランの作品と、彼の詩的かつ造形的なセンスを、ユニークな演出で余すことなくご紹介いたします。マテリアリズムとかけ離れた「感覚に呼びかける」体験となることでしょう。
なお、日本で初めての開催となる、この度のピエール ポランの展覧会は、佐藤 絵子によるキュレーションで、世界で活躍する日本人建築家の坂 茂と照明 デザイナーの石井 リーサ 明理が展示空間を手掛ける、シャネル・ネクサス・ホールならではの、特別な企画となりました。どうぞご期待ください。