シャネル・ネクサス・ホールでは、「ファッション史上初の報道カメラマン、セベルジェ兄弟が捉えたフランス1919-1939」を開催いたします。今年1月に開催された「パリ万博とその世紀~19世紀~」に続きまして、2回目のフランス国立図書館主催の写真展となります。
シャルル5世のコレクションを受け継ぐ、フランス国立図書館(Bibliotheque Nationale de France)は、1368年に創立された蔵書1,300万冊以上を誇る世界最大級の図書館です。そのうち写真、版画に関しては、歴史的に貴重な作品など500万点を超える資料が保管され、まさに人類の遺産が保存されていると言っても過言ではありません。その貴重なコレクションより今回ご紹介致します写真は、20世紀にファッション報道の分野で活躍したカメラマンのセベルジェ三兄弟(ジュール、ジャン、アルベール)のうち、1909年から1939年の間に制作された37,000点の映像からジャンとアルベールが撮影したものを抜粋したものです。セベルジェ兄弟は1909年、雑誌「ラ・モード・プラティック」の経営者、ド・ブルテル夫人の発案、依頼のもと、有名婦人服デザイナーの最新作を紹介するためにパリ郊外の競馬場、ブローニュの森を生き生きと闊歩するフランス上流社会の女性の姿を撮影することになったことをきっかけに、ファッション報道を確立していったカメラマンです。最初のころ彼らが撮影場所として足を運んだ社交界の場といえば、パリ近郊の競馬場、ブローニュの森などでしたが、1920年半ばからは、春のカンヌ、8月のドーヴィル、9月のビアリッツ、12、1月のサンモリッツなどにも広がっていきました。
そのため、今回ご紹介する写真の特徴として、ほとんどが戸外で撮影されているものということが挙げられます。また当時は高級婦人服デザイナーを身につけた顧客自身こそが、エレガントな大衆に服を宣伝するのに大活躍をしていた、「顧客がモデル」といった時代だったため、被写体は大企業経営一族、銀行家、競馬馬主、貴族、そして、高級娼婦、俳優、芸術家などでした。セベルジェ兄弟の写真は彼らの当時の最先端をいく着こなしだけでなく、社交界で繰り広げられた会話、彼らの振る舞い、フランス上流社会の贅沢と娯楽の雰囲気など、まさに当時のブルジョアジーたち生活が浮き彫りにされてくるものばかりです。
また、ご紹介いたします作品は、シャネルをはじめ、ポワレ、パトゥ、ランバン、エルメスといった偉大なクリエーター達の当時の作品を記録した他に類のない貴重なものとなっており、当時の流行をリードするファッションの変遷も併せてご覧いただける写真展となっております。