EXHIBITION
Everyday Enchantment 日常の再魔術化
ビアンカ ボンディ / 小林椋 / 丹羽海子
2024.10.19 SAT - 12.8 SUN
11:00 - 19:00
(最終入場18:30)
※10/19(土)は17:30まで(最終入場17:00)
※11/7(木)-10(日)は10:00 - 19:00
会期中無休・予約不要・ 入場無料
INTRODUCTION
2024年、オープン20周年となるシャネル・ネクサス・ホールは、UCCA現代アートセンターのディレクターであるフィリップ ティナリをアドバイザリーに新たに迎え、異文化交流、および対話と芸術的コラボレーションのためのプラットフォームとなるべく、新たな取り組みを始めています。
そして10月19日からは、長谷川祐子(金沢21世紀美術館館長、東京藝術大学名誉教授)が次世代キュレーターを育成する「長谷川Lab」とのコラボレーション企画として、新たな展覧会シリーズをスタートします。アートがいま、人々にどのような視点を提案できるかという挑戦でもあるこの企画では、長谷川Labの若手キュレーターを起用し、彼らのフレッシュな視点を取り入れながら、次世代を担う様々な才能たちの対話を生み出すことを目指します。そこで提案される新しいフォーミュラとの出合いは、見る人々に新しい価値観やライフスタイル、美学を見い出すきっかけをもたらしてくれることでしょう。
展覧会のタイトルは「日常の再魔術化(Everyday Enchantment)」。本展では、それぞれフランス、日本、アメリカを拠点に活動するビアンカ ボンディ、小林椋、丹羽海子の3名の作品を紹介します。長谷川祐子のアーティスティックディレクションのもと、シリーズ一回目の キュレーションは「長谷川Lab」の佳山哲巳とフィン ライヤンが担当します。
すべてのものが情報化されデジタル化されている今日の私たちの日常において、謎や、未知の想像力をかきたてられる領域は狭くなっているように感じます。本展は、日常の中に隠された魔術を再発見するよう観る者を誘います。3名のアーティストは、植物や道具など見慣れたものを魔術のように変容させ、そこに独自の生命と物語を与えます。ボンディが作り出す神秘的なタぺストリーは、苔やクリスタルなどミクロな生命の生成に形をあたえ、小林は身近なオブジェクトを活気に満ちた踊る存在として組み直し、丹羽の妖精のような可憐なオブジェは彼女の個人的なストーリー、テキストと絡まって、エコフェミニズムを語ります。それらは現代の創造神話の中で、主体性、独自のキャラクター、そして希望を持って共存します。
シャネル・ネクサス・ホールを創造的な庭園に変え、その空間を巡ることで、人間と非人間、有機物と人工物の境界を曖昧にし、すべての存在が変容し、調和して共存する未来のビジョンを提示します。
ARTISTIC DIRECTOR
長谷川祐子 Yuko Hasegawa
キュレーター、美術批評
京都大学法学部卒業。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。水戸芸術館学芸員、ホイットニー美術館客員キュレーター、世田谷美術館学芸員、金沢21世紀美術館学芸課長及び芸術監督、多摩美術大学芸術学科教授、東京都現代美術館学芸課長及び参事、東京藝術大学国際芸術創造研究科教授を経て、2021年より金沢21世紀美術館館長、2023年より東京藝術大学名誉教授、総合地球環境学研究所客員教授、国際文化会館 アート・デザイン部門プログラムディレクター。ヴェネツィア大学客員教授(2023年)。犬島「家プロジェクト」アーティスティック・ディレクター。文化庁長官表彰(2020年)、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ(2016年)、ブラジル文化勲章(2017年)、フランス芸術文化勲章オフィシエ(2024年)を受賞。
これまでイスタンブール(2001年)、上海(2002 年)、サンパウロ(2010 年)、シャルジャ(2013年)、モスクワ(2017年)、タイ(2021年)などでのビエンナーレや、フランスで日本文化を紹介する「ジャパノラマ:日本の現代アートの新しいヴィジョン」、「ジャポニスム 2018:深みへ-日本の美意識を求めて-」展、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」(2024年)を含む数々の国際展を企画。
CURATORS
佳山哲巳 Tetsumi Kayama
1997年上海生まれ。2020年にニューサウスウェールズ大学のデザイン学科を名誉学士号で卒業し、2024年に東京藝術大学で芸術研究とキュレーション実践の哲学修士号を取得。ポスト・オリエンタリズムの現代キュレーションの矛盾した文化的真正性、欧米の芸術機関批判、アジアを中心としたグローバリゼーションに焦点を当てた研究を行っている。オーストラリア・デザイン協会から最優秀デザイン賞を受賞。
キュレーションした展覧会やプロジェクトには、「CONCRETE: art design architecture」(オーストラリアン・デザイン・センター、シドニー、2020年)、「愛のグリッチ:新しい公式」(東京藝術大学上野キャンパス陳列館、東京、2023年)、「定点観測のあいだ」(銀座 蔦屋書店、東京、2023年)、「Echolocating: Continuum of time」(ARTiX³、東京、2024年)「触れること・触れられること」(ゆう画廊、東京、2024年)などがある。
フィン ライヤン Finn Ryan
1999年ロンドン生まれ。東京を拠点とするキュレーター、研究者。ファッション、パフォーマンス、エコロジー、クィアと障害研究に特に興味を持っている。2024年に東京藝術大学で芸術研究とキュレーション実践の哲学修士号を取得。エクセター大学と京都大学でも学び、文学と映画を専門とする教養学士号を取得。
「what are you for a creature」(NAMNAMスペース、神奈川、2023年)をキュレーションし、「愛のグリッチ:新しい公式」(東京芸術大学上野キャンパス陳列館、東京、2023年)、Stilllive Studiesのプログラムの一つ「Kin From Afar」(有楽町アートアーバニズム、東京、2023年)、「Touch My Mumblings, Hug My Words, Kiss My Singing」(旧平櫛田中邸アトリエ、東京、2023年)、「クリスタル・クリア」(仲町の家、東京、2022年)の共同キュレーションを行った。
ARTISTS
ビアンカ ボンディ
Bianca Bondi
1986年、ヨハネスブルグ(南アフリカ)生まれ。パリ在住。
領域横断的な活動を実践するアーティストで、主に塩水を使った化学反応により、ありふれた物体を活性化あるいは崇高化する。ボンディが作品の素材とする物体は、予想される変化や、その物体が本来備えている固有性や象徴性などを基準として選定されている。視覚を超えた体験を創出し、相互の連関、はかなさ、生と死のサイクルといった概念に焦点を当てながら、「物質の生命」に目を向けさせようとするのがボンディの試みである。エコロジーやオカルト科学に情熱的ともいえる関心を寄せ、その2つを融合させ、物体の「アウラ」が重要な役割を果たす多分野横断的で可変的な作品を生み出す。
近年では、ダラス・コンテンポラリー(ダラス、2023年)、ラ・カサ・エンセンディダ(マドリード、2023年)、ラファイエット・アンティシペーションズ(パリ、2023年)、ルドルフィヌム(プラハ、2022年)で展示を行う。2024年秋に開催される「森の芸術祭 晴れの国・岡山」に参加。
小林椋
Muku Kobayashi
1992年、東京都生まれ。多摩美術大学大学院情報デザイン領域でメディアアートを学んだのち、京都市立芸術大学大学院にて彫刻専攻を修了。
近年の展覧会に「スゥと数えるように湿っぽい佇まいは、スゥと巻かれる音として砕ける前に、スゥと囲いまで敷きつめているようで」(ギャラリー16, 京都, 2023年)「亀はニェフスのイゥユのように前足を石にのばすと」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京、 2022年)、「ニューミューテーション#4 小嶋晶・小林椋」(京都芸術センター、京都、2021年)など。2016年から時里充とのユニット「正直」でサウンドパフォーマンスを継続的に行う。
丹羽海子
Umico Niwa
1991年日本生まれ。2020年にバージニア・コモンウェルス大学リッチモンド校で彫刻、拡張メディアの修士号を取得。西洋的な主体概念を否定し、身体やジェンダーに拘束されないオルタナティブな主体のあり方を彫刻を通して探究している。萎れた花や、熟したフルーツといった有機的な素材を用いて、儚く移ろいやすい存在を表現する。
十和田市現代美術館で11月17日まで開催中の「野良になる」に出展中。